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第3回センサ&IoTセミナー

■第3回センサ&IoTセミナー
■日時:2021年4月27日(火)13:30~16:25
■オンライン開催:Live配信セミナー(リアルタイム配信:会社・自宅にいながら受講可能です)
■受講料:有料22,000円
■申し込み:
https://www.science-t.com/seminar/U210427.html
■開催内容
テーマ:センシング対象・センサデバイスのニーズを探る/生体内情報・農業環境の成分分析の最前線

 

セミナー講師
第1部 「身体情報を汗と皮膚ガスでアプローチ:汗の挙動と神経伝達、膵炎と塩素イオン;
皮膚ガスアセトン・アンモニアと糖尿病、慢性肝炎;皮膚ガス複数成分から血糖値の推定・パーキンソン病疾病の重度推定」(13:30~14:25) 
(有)ピコデバイス 代表取締役 博士(工学) 津田孝雄 氏
【専門】機器分析化学、汗・皮膚ガスの測定
名古屋大学(助手)、名古屋工業大学(助教授・教授)の工学部に在職し、ヒトの体表面へのアプローチを試みはじめ、名古屋工業大学在職時に汗の観察(1995年頃~)、汗の成分分析をはじめ、次いで皮膚ガスを見出し(2002年)、これらの研究に従事。退官後に起業し、汗と皮膚ガスに関する装置の製作販売や測定(微量成分測定)を事業として取り組んでいる。

 

第2部 「マルチオミクス解析による農業生態系のデジタル化」(14:30~15:25)
(国研)理化学研究所 バイオリソース研究センター
チームリーダー 博士(理学) 市橋泰範 氏
【専門】植物生理学、植物微生物学
・内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「スマートバイオ産業・農業基盤技術」(SIP第2期)農業環境エンジニアリング研究コンソーシアム・研究代表
・内閣府ムーンショット型農林水産研究開発事業・土壌微生物叢アトラスに
基づいた環境制御による循環型協生農業プラットフォーム構築・研究分担

 

第3部 「代謝物の網羅的な測定技術を用いた生体試料からの新規分子マーカーの探索」(15:30~16:25)
東京医科大学 医学総合研究所
低侵襲医療開発総合センター 教授 博士(学術/歯学) 杉本昌弘 氏
【専門】メタボロミクス、システムズバイオロジー
・現在の非常勤職、(株)サリバテックCTO、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授
京都大学大学院学研究科非常勤講師、明治大学総合数理学部非常勤講師、神奈川歯科大学大学院非常勤講師
同志社大学大学院生命医学研究科嘱託講師

 

セミナー講演内容
第1部 「身体情報を汗と皮膚ガスでアプローチ:汗の挙動と神経伝達、膵炎と塩素イオン;皮膚ガスアセトン・アンモニアと糖尿病、慢性肝炎;皮膚ガス複数成分から血糖値の推定・パーキンソン病疾病の重度推定」
(有)ピコデバイス 代表取締役 博士(工学) 津田孝雄 氏

 

 汗腺は人の体全体で200~300万存在し、人体をコントロールする重要な器官である。一日尿と比べほぼ同量の拍出量があり、運動の負荷が加われば数倍になる。汗腺は副交感神経の作動により活動する。この汗腺の動きは、倍率20~100倍で明瞭に観察でき、その動きを2次元、時間軸を加えて3次元で捉えることができる。汗自体はたくさんの成分を含んでいる。Na+、K+、Ca++、Cl-、アミノ酸、グルコース、乳酸、カフェインなどで、塩素イオンは慢性膵炎において増加する。また薬剤類(パーキンソン病ではドーパ)が認められる。汗腺は末梢血管、皮下の成分(間質水)、皮膚組織などから成分の供給を受け拍出するので健康指標として成り立つ。
 皮膚ガスは汗腺からも供給されるが、皮膚表面、皮下組織から発生するので、汗と同じように人体情報を含んでいる。ピロリ菌は尿素の飲用により発生する安定同位体13Cを含むCO2呼気ガスで検知するが、この成分は皮膚ガスとして検知できる。皮膚ガスは、アセトン、エタノール、アンモニアの三成分が主要であり、トルエン、2-エチルヘキサノール(可塑剤由来と推定)、オクタナール(香水成分)、デカナール(香水成分)、メチルメルカプタン、また時にはフタル酸エステルなど多様な成分が認められる。皮膚ガスはこれまでに身体に蓄積された成分から生じているので、人体への物資の積分量検知に用いることができよう。
 血糖値の推定、パーキンソン病疾病重度へは、複数の皮膚ガス成分でアプローチできる。これらの基礎データを用いる時、そのデータの信頼性を統計的に担保していくことが重要である。ヒトを扱うときの不確かさを常に考慮して、皮膚ガスを取り扱う必要がある。
 皮膚ガス検知に市販センサーを用いることができる。市販半導体センサーは、一つの化合物を選択的に検知する機能がないので、これを補うために多数の半導体センサーによる検知や、クロマトグラフィー的な前処理、フィルターによる選択などの工夫が必要となる。また短時間なオンラインの検知など人と関わる必要な機能の付与が大切である。

 

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第2部 「マルチオミクス解析による農業生態系のデジタル化」
(国研)理化学研究所 バイオリソース研究センター
チームリーダー 博士(理学) 市橋泰範 氏

 

 私たちは農業現場でのマルチオミクス解析により農業生態系のデジタル化を試みた。その結果、農業生態系は作物が示す特定の形質(収量や品質など)と特定の微生物種や土壌成分で構成されたモジュールが複数組み合わさってネットワークを形成していることが明らかになった。また、有機農法の一つである太陽熱処理により植物根圏に特徴的な細菌叢が形成され、土壌中に蓄積する有機態窒素が作物の生育促進に関与していることが見いだされた。さらに、同定した土壌有機態窒素のうちアラニンとコリンが、窒素源および生理活性物質として作物生育を促進することを証明した。
 マルチオミクス解析による農業生態系のデジタル化は、篤農家の匠の技として伝承されていた有用な作物生産技術などを科学的に可視化する新しい手法であり、農業を工業的センスで推進する「農業環境エンジニアリング」への道が切り拓かれるものと期待できる。
 本研究成果から発展して、現在私たちが進めている国家プロジェクトの概要を紹介し、その取り組みから、農業分野に求められるセンシング技術について議論したい。

 

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第3部 「代謝物の網羅的な測定技術を用いた生体試料からの新規分子マーカーの探索」
東京医科大学 医学総合研究所 低侵襲医療開発総合センター
教授 博士(学術/歯学) 杉本昌弘 氏

 

 生体中の代謝物を網羅的に測定できるメタボローム解析技術を用いて様々な代謝関連疾患の分子マーカー探索を実施してきた。代謝物は、糖尿病、がん、精神疾患など様々な疾患で変化するために、これらの変化を血液や尿などの試料で検出することができれば簡易センサーの開発ネタ(ターゲット分子)となると考えられる。
 一方、代謝物には、アミノ酸・有機酸・糖などの食品の味に関係する物質も含まれる。食品の味や風味を考えた場合、単なる1物質の多い少ないだけで味を完全に評価できないのは容易に想像できる。うまみ成分はグルタミン酸ではあるが、肉を焼くときにキノコやかつお出汁を利用して核酸系の物質を増強してよりうまみを強くするということは経験的に誰でも実施している。
 一方、疾患マーカーを探すときは、なぜか単一マーカーを探そうとする研究が多い。簡易センサーを作るためには理想的だが実際にそう話は単純ではなく、個人ごとの基礎的な代謝の違いや、同一名の疾患でも代謝状態が異なるヘテロな集合体から、ヘテロな部分集合体を抜き出そうという問題であり、冷静に考えれば無理である。そのような中でも初期症状がないようながん疾患を早期に見つけるためには、侵襲性が低い検体で被験者の身体的な負担を最小限にした検査方法を開発することが社会的な命題である。
 本セミナーでは、これらの問題に取り組んできた実例を紹介する。

 


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